「懸造(かけづくり)」の意味
懸造とは、日本独特の建築法の1つで、崖などの急な斜面上に建築物を建てることを言います。「懸崖造(けんがいづくり)」「崖造(がけづくり)」などとも呼ばれ、斜面の上に長い柱や貫を渡し、その上に建物を建てて固定するという方法になります。代表的な建築物としては、京都の清水寺本堂や奈良県の室生寺金堂、兵庫県の一乗寺金堂、圓教寺摩尼殿などがあります。これらの懸造は、平安中期ごろから多く見られるようになりました。
上記のような懸造は、最初に本堂が作られた後に、前面に付加される形で建てられたものがほとんどです。一方、最初から崖上に建立された、千葉県の笠森寺観音堂のようなものもあります。こちらは「四方懸造」と呼ばれる建築で、文字通り四方に組み上げた高い柱の上に、観音堂が立てられているのが特徴です。
このような懸造の建物は、老朽化の進行で、補修のための半解体工事が行われることもあります。しかし、ほとんどが急峻な崖の上などに建てられていることから、解体業者にとっては非常な困難が伴うことが多くなっています。重機の搬入が難しいため、人力での作業が主体となる上、廃材の落下等にも気を配らなくてはなりません。また、作業員の安全にも十分配慮する必要があります。
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