特許文書の翻訳会社を選ぶ6つのポイント
実務翻訳にはさまざまな分野がありますが、その中でも特殊なのが、特許文書の翻訳です。これは、特許を取得するために特許庁に提出しなければならない「特許明細書」や「特許請求の範囲」を、出願する国が指定する言語に翻訳するという仕事です。これらは、出願する発明について詳しく説明するとともに、その発明の権利範囲についても定義しなければならず、技術文書としての役割と、法律文書としての役割を同時に持っています。高度な専門性を要する特許翻訳を依頼する際、どんな点に気をつけて翻訳会社を選ぶべきなのかについて、詳しく見ていきましょう。
1.高い専門性があるか
特許文書の翻訳は「特許翻訳」と呼ばれており、技術翻訳の一種類にあたるものです。技術翻訳は産業翻訳と呼ばれるものの中で、特に技術の専門性が高い文書の翻訳を指して用いられます。例えば、ソフトウェアマニュアルやハードウェアマニュアル、技術論文といったものが技術翻訳にあたるわけですが、この中に特許翻訳も含まれます。つまり、特許翻訳には高度な専門性が求められるわけです。通常の翻訳同様、外国語や日本語の力量が必要になるのはもちろん、電気や電子、通信や半導体といった分野の技術知識にも通じていなくてはなりません。しかも、特許翻訳は法律文書でもあるため、法律関係の知識も不可欠になります。こうした幅広い分野の専門知識が求められるため、翻訳会社を選ぶにあたっては、その会社にどれくらいの専門性があるのかしっかり確かめる必要があります。特に、特許を取得したい分野に通じた翻訳者がいるかどうかは、見積もり前にきちんと確認しておきましょう。
2.法的な文書を扱っているか
前述のように、特許文書は法律文書でもあるという特徴があります。ですから、技術関連だけでなく、法律に精通していることも依頼の条件となります。特許出願に必要となる文書はいくつかありますが、中でも重要となるのが、「特許請求の範囲(Claims)」という文書です。この文書は、特許が認められた際の権利範囲を規定するもののため、内容には法律文書としての厳格性が強く求められます。そのため、翻訳者は、法律の知識や用語に詳しくなければなりません。もちろん意訳などは許されず、原文の文章を、一言一句たがわず正確に訳す必要があります。こうした翻訳のためには、法律関係の文書の翻訳実績を持った翻訳会社であることが欠かせません。公的機関や大企業などと取引があり、そうした組織の契約書など、法的な性格の強い翻訳を手掛けた実績があるかどうかを事前に確認しておきましょう。
3.特許翻訳の実績はあるか
当然ですが、特許翻訳の実績があるかどうかも、翻訳会社を選ぶポイントとなります。特許文書を扱う会社は少なくありませんが、大事なのは、あくまでも専門性の高さや実績の豊富さです。中には、特許翻訳を行っていても、専門性の高い翻訳者やチェッカーがいなかったり、経験や実績に乏しいスタッフしかいないといった場合もあります。こうした会社に依頼すると、ミスや内容の不備のせいで、望んだ成果を挙げられないことも考えられます。特許翻訳においては、特許出願に必要な書類の他に、中間手続きのための書類も翻訳しなければならないという、代理人としての役割も求められるため、実績に乏しい会社では、スムーズな手続きが行われない確率が高くなってしまうのです。逆に、特許文書を扱った実績が豊富なほど、スキルや経験値も高く、手続きも比較的スムーズに進めることが期待できます。特許文書の翻訳を依頼する際は、法律や技術の専門性と同時に、特許翻訳の実績についても調べておきましょう。
4.スケジュールをしっかり伝える
しっかりした特許文書の翻訳を行うには、スケジュールの調整も重要です。質の高い翻訳には、まず翻訳者の選定が重要になりますが、出願する分野を専門にしており、尚且つ経験が豊富で実力のある翻訳者を確保するには、ある程度の時間の余裕が必要になります。人気の翻訳者は忙しいため、場合によってはスケジュールの調整がつかず、それよりも実力の落ちる翻訳者が選ばれる可能性があります。その場合は、翻訳のクオリティ低下を招くおそれもありますから、事前に余裕を持ったスケジュールを立てておくことが大事になってきます。さらに、納期に余裕があることで、翻訳やチェックに細心の注意を払い、綿密に作業を進めることができるので、仕上がりのクオリティも上がりやすくなるでしょう。また、納期が多少詰まり気味の場合でも、事前にはっきりしたスケジュールを伝えておくことで、実力ある翻訳者を確保しやすくなります。見積もりの際はこうした予定についてしっかり伝え、万全の体制で臨める会社を選ぶようにしましょう。
5.対応言語数はどれくらいか
ビジネスを拡大する上では、なるべく多くの国で特許を取得したいところですが、そこで注目したいのが、その翻訳会社がどれくらいの数の言語に対応しているかという点です。当然、対応する言語数が多いほど、多くの国に向けて特許を出願できることになり、ビジネスチャンスの拡大につながります。英語だけでなく、中国語や韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語など、なるべく多くの言語で特許文書が翻訳できる会社を選ぶようにしましょう。
6.チェック体制が整っているか
前にも触れたように、特許文書の翻訳には、大幅な意訳は認められません。もちろん、誤訳などのミスもNGです。記述内容に不備や不足があった場合、特許取得は認められないこともありますから、翻訳には正確で過不足のない内容が求められます。さらに、表現によっては権利内容を狭めてしまう可能性もあるため、十分な注意と配慮をしなければなりません。ここで重要になるのが、翻訳のチェック体制です。チェックのやり方は各事務所によって異なり、中には「特許請求の範囲」だけ重点的にチェックして、明細書はあまり詳しく確認しないというところもあります。特許翻訳は非常に多忙で、チェッカーの仕事もスケジュールに追われているため、十分な時間が取れないこともあるためです。一方で、複数人で「特許請求の範囲」を重ねてチェックした上、全文のチェックも行ってくれるところもあります。特許取得に万全を期したい場合は、こうしたチェック体制の整った会社に依頼した方が良いでしょう。
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