知っておきたい自費出版の3つのメリット・1つのデメリット
お笑い芸人さんが著名な文学賞を受賞し話題になりました。文筆を生業としない人間が受賞したということもあって世間の関心も高く、彼の著作は飛ぶように売れました。これに触発され、自分も作品を世に出してみたいと考えた人は少なくないのではないでしょうか。とはいえ文学賞に応募するのはまわりくどい、自らの著作物をとにかく早く世に出したい、そんなときこそ自費出版という選択肢があります。ただ、本の出版には原稿の執筆はもちろん、装丁や印刷・製本、そして流通に至るまでの相当な実費がかかります。それらを自己負担してでも出版するからには、そのメリットとデメリットを十分に把握しておく必要があります。
ブランド志向でコストにはこだわらないなら
自費出版にもさまざまな方法がありますが、目的がはっきりしていればやり方は絞られます。
作家になることをひそかに夢見ていたような人の場合は、文芸に強い有名出版社から自分の著作物を出版したいという思いがひときわ強いもの。一流作家の作品を多く扱う有名出版社から自分も本を出したい、そのためにはある程度コストはかかってもかまわない、そう考える人も少なくないでしょう。ではこうした有名出版社から自費出版する場合にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリットは、なんといってもその出版社が蓄積してきたクオリティの高い編集ノウハウが味方につくことです。持ち込んだ原稿の仕上がりは格段に高められ、デザインや装丁も一定水準以上のスタッフが手がけてくれます。満足度のひじょうに高い素晴らしい本ができあがります。
ではこの場合のデメリットはなんでしょう。コストにはこだわらない前提ならそれはデメリットにはなりませんが、あらためてブランドや品質に見合う分だけのお金がかかることは認識しておく必要があります。
また、持ち込んだ原稿に残念ながら不備が多い場合、彼らは文芸出版社の看板にかけて手を入れざるをえなくなります。ひどい場合にはもはや自分のオリジナル原稿とは言いがたいものになってしまう可能性もないとはいえません。そして当然完成までには相応の時間もかかってしまうこともデメリットになるでしょう。
思い通りの本を早く作りたいなら
書店で売られる本を作るには流通用コードの取得と、取次ぎ会社を通じた配本が必要です。それを代行してくれる出版社は数多くあり、前述の有名出版社のようなネームバリューはなくても、本作りにおいてさまざまな面で敷居が低くなります。
この場合のメリットは、ほぼ思ったとおりの原稿でそのまま出版できることです。最低限の手直しはあっても、自分の文章ではなくなってしまうほどの修正が入ることはありません。自分らしさが読み取れる生き生きとした内容の本にすることができます。ただし当然ながら内容自体が差別的とか反社会的などというものは本にすることはできません。そうでない限り、自由度の高い個性的な本をつくることができます。
かなりの小部数でも作れたりと、大手の出版社より対応が柔軟なこともメリットです。
その結果もちろんコストがおさえられ、短期で作れるというメリットも出てきます。
一方デメリットは、でき上がった本が書店に流通する可能性が低いことです。これは大手出版社で作っても基本的には同じですが、比較すれば可能性はより低くなります。また発行元としての認知度は高くないので、仮に版元(出版社)で本を選ぶような読者に対してはアピールが弱まるというデメリットもあるでしょう。
広がる選択肢
いまや世界最大の書店はAmazonです。そこでは世界中の本が流通しています。そして
なんと個人でも無料で今すぐ本を作って自由に定価をつけ販売することができるのです。自費出版における最大のハードルは、多くの書店に自分の本をおいてもらうことですが、Amazonならだれでも即座に出品することができるます。しかも世界中の潜在読者にアピールできる可能性があるのです。受け取れる販売収入の割合が高いことも特徴です。ただし紙の本ではなく電子書籍であり、作り手には相応のパソコンインフラや知識などが求められ、決して簡単とはいえません。そもそも紙の本というカタチにならないことに一番の不満足を感じるかもしれません。やはりメリット・デメリットはあるのです。しかし将来的にはこれが最も普遍的な自費出版の手段になっている可能性があります。
自費出版は意味ある投資
自費出版はその内容が客観的に評価される保証はありません。それでも自らの知識や経験、温めてきた物語などをまとめたとき、それが世の中にとって価値あるものとなる可能性は十分にあります。
身銭を切って出版するという行為自体は経済的なデメリットになりえます。しかし「世間に評価される可能性への投資」と考えれば、自分の知識・経験・創作・お金、を死蔵せず有効活用するという、たいへん意味ある行為になります。
それぞれの自費出版の手段におけるメリット・デメリットをよく吟味したうえで最善の方法を決め、あなた発の本を出版する喜びをぜひ体験してください。
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