店舗契約における商圏や立地の大切さについて
これからお店を開業しようとしている人にとって、物件選びは最も大切です。
しかし、物件そのものと同様、もしくはそれ以上に大切なものがあります。それが商圏と立地です。同じ場所に、飲食店ができても、しばらくすると潰れてしまい、また新しい飲食店が立つ…、その物件で店舗が入れ代わり立ち替わりする光景を見たことがある人はいるでしょう。それは、その店舗そのものが悪いのでなく、もしかすると、商圏や立地が問題なのかもしれません。
商圏や立地は、売上に多大な影響を与えますので、店舗契約前の分析調査が非常に重要です。分析調査には多くの時間を必要としますが、いい加減にすることのリスクは計り知れません。
ここでは商圏や立地がどうして大切なのかについて、考えてみたいと思います。
「商圏」「立地」とは何か
「商圏」とは、店舗にお客様が来店する可能性のある範囲のことをいいます。つまり、潜在的消費者がいる地域の範囲です。商圏は距離だけでなく、その中に競合の店舗があったりすることで、範囲が狭まったり、逆に広がったりします。
では「立地」とは何でしょう。立地は、単に店舗がある場所だけを示すのではありません。店舗の周辺の通行量や住民の層の様子、交通の便の良さ、悪さ、雰囲気など、全ての情報を含んだ場所のことです。
商圏も立地も、店舗の経営の成功を左右する大変重要な要素です。
商圏がなぜ大切なのか
店舗を開業するときに、商圏分析をすることが大切です。商圏にどれだけの人口がいるのか、年齢層はどうか、学生やビジネスマンの割合はどうかなどを、細かく分析してデータをとる必要があります。
店舗は一度そこに建てると、そう簡単に動かすことはできません。店舗経営は、地域に根付いて展開していく必要がありますから、商圏内の人々の影響を非常に強く受けます。
また分析が必要なのは、商圏内の層だけではありません。「昼間の人口、夜の人口、平日の人口、土日祝日の人口」と、様々な時間帯に分けて、人口がどのように変化するのかも調べる必要があります。
ではどうして、商圏分析が必要なのでしょうか。
例えば、開業しようとする店舗が高級料理店だった場合、商圏内が学生ばかりだったら、どうでしょうか。安いラーメン屋やちょっとおしゃれなカフェなら人気が出るかもしれませんが、高級料理店では、どんなに頑張っても売上は上がらないでしょう。高級料理店が学生のニーズと合わないからです。
出店する店の種類は決まっていますから、ターゲットは誰か、どのくらいの価格帯の商品を提供するのかなど、焦点を絞って商圏調査をすることで、その土地に出店するべきかどうかが分かります。
もう一つ調べておきたいのは、商圏内にどれだけ競合店があるかです。競合店が多くあるようなところに、店舗を構えても、売上はなかなか伸びません。
このように、自分の店舗に適した商圏を店舗契約の前に選ぶことが、経営上、大切なのです。
立地がなぜ大切なのか
店舗契約の前に調査が必要なのは、商圏だけではありません。立地についても、入念に調べることが大切です。
交差点の角地が店舗の立地として人気なのは、信号で停車している間に店舗が目に入る位置だからです。歩行者はもちろん、車やバスなどでも交差点で信号待ちをしている際にお店が目に入りお店の存在を知ってもらうことができます。
それで売上が上がれば、そこはそのお店にとって立地が良いことになります。
その他にも、立地がいいとされているのは、「駅前や繁華街などの人通りの多いところ」「交通の便がいいところ」「駐車場に車が入りやすいところ」などがあげられます。
しかし、ここで伝えたいのは、立地の良し悪しは、店舗によって違うということです。「駅前は人通りも多く、立地がいい」と言うのも、多くの条件の中で売上が上がる傾向が高いという、ひとつのデータに過ぎません。
つまり、いい立地とは、その店舗にとって、集客しやすい場所であるということです。
店舗の立地は、どの条件が自分のお店のお客様のニーズとマッチしているかをよく分析し、戦略的に選ぶことが大切なのです。
商圏や立地はプロに診断してもらうのもありです
商圏や立地が悪いのに、そこに店舗を構えてしまった理由として、「安かった」「探す時間がなかった」「そこしか候補がなかった」などが、よくあげられます。店舗選びには時間がかかりますが、業者とのしがらみや、会社の経営上の問題で、店舗契約を急がないといけない場合があります。しかし、立地選びで失敗すると、売上が上がらず、後々まで苦労することになりかねません。その商圏や立地が、自分のお店にとって本当に合っているのかは、なかなか判断が難しいものです。そういったとき、プロの目に診断してもらうことも、効率的だと思います。
どちらにせよ、店舗開業が成功するためには、店舗契約前にしっかりと、商圏と立地を調査することが大切なのです。
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