目次
動画広告は、商品やサービスをわかりやすく、かつ印象的に伝える手段として、多くの企業に活用されています。しかし「動画広告」と一口に言っても、その種類や配信先、目的はさまざまです。
本記事では、動画制作を検討している企業の担当者の方に向けて、主要な動画広告の種類やそれぞれの特徴、活用事例、選び方について、わかりやすくご紹介します。
動画広告とは?
動画広告とは、動画の形式で情報を伝える広告のことを指します。映像と音声を組み合わせて訴求できる点が最大の特長で、静止画やテキストでは伝えきれない感情や雰囲気を視聴者に届けることができます。商品やサービスの魅力を短時間で印象づけられるため、企業のプロモーションやブランディング施策において重要な役割を担っています。
動画広告市場の成長と背景
近年、動画広告市場は急速に拡大しています。電通が発表した『日本の広告費2024』によると、2023年のインターネット広告媒体費は2兆9,611億円(前年比110.2%)となり、その中でも動画広告の伸び率が全体を牽引したとされています。特にSNSプラットフォーム上での縦型動画広告などの需要増加が目立ち、企業のマーケティング施策における動画活用が一般化しています。
このような背景には、スマートフォンの普及や5G通信の拡大により、ユーザーが日常的に動画を視聴する習慣が定着したことが挙げられます。YouTubeやTikTok、InstagramなどのSNSや動画プラットフォームがこの成長を大きく後押ししています。
主な動画広告の種類と特徴
動画広告には、大きく分けて「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」があります。それぞれに適した配信先や活用の場面が異なるため、自社の目的に合った形式を選ぶことが重要です。
インストリーム広告(動画再生中に表示される)
スキップ可能なインストリーム広告
YouTubeなどで再生される広告のうち、一定時間(5秒など)経過後にユーザーがスキップできる形式です。視聴者が興味を持った場合のみ視聴を継続するため、クリック率やエンゲージメントの高さが期待されます。広告主には「一定時間以上視聴された場合のみ課金される」などの柔軟な運用が可能です。
スキップ不可のインストリーム広告(バンパー広告など)
6秒程度の短尺動画がスキップ不可で再生される形式で、主にバンパー広告として活用されます。短時間でブランドやキャンペーンメッセージを印象付けたいときに適しています。スキップされないため、確実な視認性が得られる反面、情報量は絞る必要があります。
アウトストリーム広告(動画以外のコンテンツ上に表示)
インリード広告
インリード広告は、ニュース記事や読み物コンテンツの途中に自然に組み込まれる動画広告です。ユーザーがページをスクロールして広告が表示領域に入ったときに自動的に再生が始まる仕組みで、ユーザーの体験を大きく妨げることなく情報を届けられるのが特長です。記事の文脈に沿って表示されるため、広告内容もより自然に受け入れられやすく、ブランドやサービスの認知促進に効果的です。
インバナー広告
Webサイト上の広告枠に表示される動画です。バナー広告の一種で、ページ内に埋め込まれた状態で再生されます。視認性を高めたいときに有効ですが、音声がオフのまま再生されるケースが多いため、視覚的な工夫が重要です。
インタースティシャル広告
アプリやモバイルWebサイトで表示される全画面型の動画広告です。画面遷移のタイミングなどで表示され、視認性が非常に高いのが特徴です。ユーザーが広告を閉じるまで次の画面に進めないため、強制視聴型に近い形で訴求できますが、表示頻度が高すぎるとユーザー体験を損なう恐れがあるため注意が必要です。
配信媒体ごとの特徴と選び方
以下は、Web動画広告を配信できる主な媒体と、それぞれの特徴・主なユーザー層・広告メニュー・用途を整理した一覧です。
媒体名 | 特徴 | 主なユーザー層 | 主な広告メニュー | 向いている用途 |
---|---|---|---|---|
YouTube | 世界最大級の動画プラットフォーム。豊富な広告形式と幅広いリーチが特長。 | 幅広い年代 | インストリーム広告、バンパー広告、ディスカバリー広告など | 認知拡大、商品訴求、ブランディング |
若年層に人気のSNS。縦型・短尺動画との相性がよい。 | 10〜30代、女性層 | ストーリーズ広告、リール広告、インフィード広告 | 世界観の訴求、ファン獲得、キャンペーン告知 | |
TikTok | エンタメ重視のショート動画に強み。音楽やトレンドとの親和性が高い。 | 10〜20代中心 | インフィード広告、TopView広告など | 認知拡大、共感型プロモーション、拡散施策 |
幅広い世代にアプローチ可能。既存顧客向けやリターゲティングに有効。 | 30〜50代中心 | インフィード広告、ストーリーズ広告など | リピート促進、説明型広告、BtoB訴求 | |
Twitter(X) | リアルタイム性に優れ、話題性ある訴求がしやすい。 | 20〜40代中心 | プロモビデオ、インフィード広告など | トレンド連動型、速報性のある情報発信 |
LINE | 幅広い年齢層が利用する国民的アプリ。日常接点を活かした広告が可能。 | 10〜60代 | トークリスト広告、LINE VOOM動画広告 | 行動喚起、販促、クーポン配信 |
Webサイト | メディア記事やバナー枠を活用した配信。読者の文脈に沿った訴求が可能。 | 情報収集層 | インバナー広告、インリード広告など | コンテンツ連動型訴求、詳細情報の紹介 |
アプリ | ゲームやユーティリティアプリ内での広告表示。報酬型などで視聴率が高い。 | アプリユーザー全般 | リワード広告、インタースティシャル広告 | エンゲージメント強化、ゲーム関連訴求 |
YouTube
YouTubeは世界最大級の動画プラットフォームであり、幅広い年齢層のユーザーにリーチできるのが大きな特長です。テレビCMに近いリーチ力を持ちながら、ターゲティング精度が高く、目的に応じた広告配信が可能です。インストリーム広告やバンパー広告など多彩な形式を活用でき、ブランド認知から商品の具体的な訴求まで、幅広いマーケティング施策に対応します。
Instagramはビジュアル中心のSNSで、若年層や女性層に特に人気があります。ストーリーズやリールといった短尺・縦型動画の広告フォーマットとの相性が良く、ブランドの世界観を自然に伝えることができます。ユーザーとの距離感が近く、共感やファン獲得を目的とした広告展開に向いています。
TikTok
TikTokはエンタメ性に特化したショート動画プラットフォームで、10代〜20代の若年層を中心に高い利用率を誇ります。広告としてもユーザー投稿と変わらない自然な見せ方が求められ、独自のクリエイティブ性が重要です。ハッシュタグチャレンジなど拡散性の高い施策を組み合わせることで、大きな話題性とリーチが期待できます。
Facebookは30代以上のユーザーが多く、落ち着いた情報発信やビジネス寄りの訴求に適しています。既存顧客への再アプローチ(リターゲティング)や、BtoB向けの情報提供、イベント告知などでも活用されることが多い媒体です。テキストと動画の併用で情報を丁寧に伝える構成が効果的です。
X(Twitter)
X(旧Twitter)はリアルタイム性の高いSNSで、今起きている出来事やトレンドに乗ったプロモーションに強みがあります。短い文章と動画や画像を組み合わせた投稿が拡散されやすく、情報のスピード感を重視するキャンペーンに適しています。フォロワーの反応を起点としたコミュニケーションも活発です。
LINE
LINEは幅広い世代に利用されているコミュニケーションアプリで、日常的な接触頻度の高さが魅力です。LINE VOOMやトークリスト広告を通じて、ユーザーの生活導線上で自然に広告を届けることができます。クーポン配信やキャンペーン告知など、行動喚起型の施策に非常に強みがあります。
Webサイト
Webサイト内での動画広告は、記事コンテンツやニュースと組み合わせて表示されるため、情報収集中のユーザーに自然な形で訴求できます。コンテンツの文脈に沿った広告展開ができるため、理解促進や信頼獲得に有利です。専門性の高い商材や比較検討フェーズのユーザーに適しています。
アプリ
スマホアプリ内の動画広告は、ユーザーがアプリを操作する合間に表示されるため、視認性が高く、完了視聴率も比較的良好です。リワード広告のように視聴インセンティブがある形式では、エンゲージメントの向上も期待できます。ゲームやツール系アプリなど、ユーザーが長時間滞在する媒体に適しています。
動画広告の課金方式
動画広告は、配信する媒体やフォーマットによって、課金の仕組みが異なります。広告主にとっては、自社の目的やユーザーに期待する行動に合わせて、最適な課金方式を選ぶことが、費用対効果の高い広告運用につながります。ここでは、代表的な4つの課金方式についてわかりやすく解説します。
課金方式 | 向いている目的 | 課金発生のタイミング | 費用の目安(相場) |
---|---|---|---|
CPV(視聴課金) | 興味・関心の高いユーザーに届けたい場合 | 視聴30秒以上または最後まで視聴 | 1再生あたり5〜20円程度 |
CPC(クリック課金) | サイト誘導やコンバージョンを重視したい場合 | 広告がクリックされた時点 | 1クリックあたり20〜100円程度 |
CPM(表示課金) | 広く認知を届けたい場合 | 広告が1,000回表示された時点 | 1,000回表示あたり数百〜数千円程度 |
CPA(成果課金) | 購入・登録など明確な成果を求める施策 | 購入・登録など成果が発生した時点 | 1成果あたり数百〜数千円程度 |
CPV(Cost Per View)/視聴課金型
動画広告が一定の秒数以上視聴された場合に課金が発生する方式です。たとえば、YouTubeのTrueView広告では、30秒以上の視聴(または最後までの視聴)、もしくは視聴途中でのクリックがあった場合に課金対象となります。視聴者の関心を引いたときだけ費用が発生するため、無駄な広告費を抑えながら、興味関心の高いユーザーに届けたい場合に効果的です。
CPC(Cost Per Click)/クリック課金型
広告がクリックされたタイミングで課金される方式です。バナー広告やインフィード広告、動画広告でもリンク先に誘導する形式に多く使われます。視聴者が興味を持って実際に行動を起こしたタイミングで費用が発生するため、Webサイトへの誘導やキャンペーンページへの流入数を重視したい場合に向いています。
CPM(Cost Per Mille)/インプレッション課金型
広告が1,000回表示されるごとに料金が発生する方式です。動画が最後まで視聴されるか、クリックされるかに関わらず、表示された回数に応じて課金されます。そのため、多くの人に認知してもらいたいときや、短期間で広範囲に広告を届けたいときに有効です。ブランディング目的のキャンペーンなどでよく活用されます。
CPA(Cost Per Action)/成果報酬型
商品購入や資料請求、会員登録など、特定のアクションが完了した場合にのみ課金される方式です。クリックや視聴だけでなく、実際の成果につながったときだけ費用が発生するため、費用対効果を重視する場合に最適です。ただし、成果までのハードルが高い分、設定には十分な運用ノウハウが求められます。
媒体別・動画広告の活用事例
ここでは、代表的な媒体ごとに実際に行われた動画広告の活用事例をご紹介します。媒体の特性を踏まえてどのような施策が行われたかを知ることで、自社での活用を具体的にイメージしやすくなります。
YouTube|サントリー「BOSS×宇宙人ジョーンズ」シリーズ
目的:ブランド認知・記憶定着
内容:テレビCMと連動した「宇宙人ジョーンズ」シリーズをYouTubeでも展開。YouTube上ではCM動画を活用し、世界観の統一とブランド認知の強化を図った。
効果:CM視聴後のブランド認知率が向上
Instagram|資生堂「MAQuillAGE」
目的:若年層女性へのブランドイメージ訴求
内容:Instagramストーリーズ広告を活用し、マキアージュブランドの世界観や商品特長を若年層女性に向けて訴求。縦型・短尺フォーマットで自然な接触と共感を促進した。
TikTok|UNIQLOグローバルキャンペーン
目的:認知拡大と共感型の拡散
内容:#UTPlayYourWorld というハッシュタグチャレンジをTikTokで展開。UGC(ユーザー生成コンテンツ)との連動で自然な拡散を促進。
効果:数千万回以上の再生・数千本の動画投稿が発生
動画広告の選び方
動画広告を成功させるためには、目的やターゲットに応じて適切な形式や媒体を選ぶことが重要です。広告の種類や配信面ごとに特徴が異なるため、事前に整理しておくと、効果的なクリエイティブ設計や予算配分が可能になります。
広告の目的を明確にする
まず、「何のために広告を出すのか(認知/興味喚起/行動促進)」を明確にし、それに合った広告タイプを選ぶことが基本です。たとえば、短時間で印象づけたい場合はバンパー広告、商品やサービスを詳しく伝えたいならインストリーム広告やインフィード広告が適しています。
ターゲット層を想定する
想定するユーザー層の年齢や性別、興味関心によって、選ぶべき媒体や広告形式は異なります。若年層にはInstagramやTikTok、ファミリー層にはYouTube、ビジネス層にはFacebookやX(旧Twitter)など、ターゲットに合ったプラットフォームを見極めることが大切です。
媒体の特性を理解する
それぞれの媒体には、ユーザーの利用シーンや広告枠の特徴、広告フォーマットの強みがあります。たとえば、ストーリーズ広告は視認性が高く短期訴求に向き、リワード広告はゲーム内での高い視聴完了率が期待できます。媒体特性を理解し、自社の施策とマッチさせることが成果につながります。
表現方法と尺を検討する
広告の尺(長さ)や構成も重要な要素です。情報を短く印象的に伝えるなら6秒のバンパー広告、しっかり内容を説明したいなら15秒〜30秒のインストリーム広告など、目的に応じた設計を検討しましょう。
配信時期・予算もあわせて計画する
広告はタイミングも重要です。商品の発売時期やキャンペーン開始時期などに合わせて配信計画を立てることで、効果が高まります。あわせて、媒体ごとの単価や課金方式にも注目し、無理のない予算設計を行うことが大切です。
このように、「誰に」「何を」「どこで」「どのように」届けるかを軸にして、複数の要素を組み合わせながら選定していくことが、動画広告を最大限に活用するポイントです。
まとめ
動画広告は、伝え方の選択肢が豊富で、ターゲットや目的に応じた柔軟なアプローチが可能です。どの広告形式を選ぶかで伝わり方も大きく変わってくるため、制作前にしっかりと目的を整理することが大切です。媒体やフォーマットの特徴を理解し、自社にとって最適な動画広告戦略を構築していきましょう。
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